6月12日午後5時30分から行われる第12回手塚治虫文化賞贈呈式&祝賀会に出席のため東京会館へ。めでたく新生賞を受賞した島田虎之介氏と私は社員のみんなより早い4時45分集合だったけど、シマトラ夫妻、朝日新聞社が出してくれたハイヤーで向かう途中、事故による渋滞に巻き込まれ少し遅れて到着。「緊張はしてないけど車に酔った。普段タクシーとか使わないから貧乏人には向いてないよね」と青い顔で苦笑するシマトラに、選考委員の呉智英さん、村上知彦さん、藤本由香里さん、それに萩尾望都さん、印口崇さんらが祝福に来て下さった。手塚プロの手塚眞さん、代表の松谷さんとも久し振りにご挨拶。眞さんとは過去二度ほどお会いしてるはずなのに、いつどこでってのが全然思い出せず焦っていたら、眞さんも「二回お会いしてましたよね、でもどこでしたっけ」と思い出せず、二人で苦笑。
そうこうするうちに授賞式が始まった。大賞「もやしもん」石川雅之さんの後がシマトラ。いただいたアトム像を手に、すごーく心のこもった挨拶に会場中が感動! 「いろいろ感謝したい人がたくさんいるけど」と前置きし「やはり青林工藝舎に感謝したい。創立10年のたった5人しかいない小さな会社が、一生懸命やってきたことが、証明されて嬉しい。青林工藝舎がなければ島田虎之介は生まれなかったし「トロイメライ」もなかった。この賞は青林工藝舎が受賞したようなものです」と自分のことよりも工藝舎を称えてくれ、もうこちらはウルウル&ニッコニコ
。シマトラの挨拶の途中にもかかわらず、思わず「ありがとー!」と答えてしまった。こんなに作家に応援してもらえるなんて、ものすごく嬉しいぞー! やっぱりまじめにコツコツとやってきてよかった、と素直に思った。
シマトラの後の短編賞受賞の大島弓子氏は欠席。その代理でと現れたのが「グーグーだって猫である」の映画の主演女優の小泉今日子さん。会場はまた違った意味で興奮し、多分この日一番フラッシュがたかれたのでは。同じ壇上にいたシマトラは「キョンキョンと共演したようなもんかも」と苦笑。「でもやっぱり大島弓子さんに会いたかったよねぇ」と本音もぽろり。
最後の特別賞は橋本府知事の改革によってその存続が風前の灯火と化してしまった大阪府立国際児童文学館。代表の方の、この受賞を存続活動の励みにしたい、という力強い挨拶に、これまた会場から割れんばかりの拍手。いろんな盛り上がりを見せた授賞式の後は祝賀会。駆けつけてくれた株主の末井昭さん、南伸坊さん、香田明子さん、それから林静一さん、高信太郎さん、長嶋有さん、阿部幸弘さん、夏目房之介さん、南信長さん、井上則人さん、コミックビームの岩井さん、イーストプレスの堅田さん、高取英さん等々、大勢の知合の方から「おめでとー」の言葉をいただいた。三年前に韓国のコミックシンポジウムでご一緒した講談社コミッククリエイティブの代表の由利さんもシマトラの挨拶の言葉に「マンガのことがよく分かってるいい作家じゃないか、おめでとう」と杯を寄せられ、勢いよく乾杯! 滞りなく祝賀会も無事終り、今度は二次会の会場へ移動!
有楽町ガード下に有るタイ料理の店「コカレストラン日比谷」には、授賞式のメンバーに作家仲間、マンガ研究家、評論家の方々もたくさん駆けつけてくれてシマトラを祝福。最初に辰巳ヨシヒロさんからいただいたお祝いのメッセージを披露すると店内は割れんばかりの大拍手! 「トロイメライ」を含め、シマトラの単行本全てを装幀して下さった南伸坊さんの乾杯の音頭で会は始まり始まり! バンドをやってる奥さんの音楽仲間でドラマー井上尚彦さんが中心になって活動中のインプロヴィゼーション・ジャズ・カルテット「エモーショナルピクチャーズ」のサックス奏者ANDY・BEVANさんが粋な計らいで「ダニー・ボーイ」を演奏してくれたり(ホントは「ボクだにーぼーいスキジャナイヨ〜」と言いながらも演奏してくれたそうです。無理矢理)、関係者全員がお祝いのスピーチをしてくれたり。おいしいタイ料理に舌鼓を打ちながら楽しい一夜を過ごし、最後は高信太郎先生による三本締めでお開き。ホントにおめでとうシマトラ、こんなすばらしい賞を受賞して私もみんなも自慢だよ、誇りに思うぜ!!
…と、おめでたい一日ではあったが、実は授賞式に出かける直前、青林工藝舎内で大事件が勃発していたのであった。この日、出かける寸前まで恥ずかしながら今月も大赤字のため資金繰りであちこちに電話をかけたり頭をひねっていたら、イプシロンの末井幸作ちゃんがドカドカと編集部に素足で上がり込み、「はい、スズメ」といって、雨に濡れて動かなくなっているスズメを差し出したのだ。「まーた、まーたどうして拾ってくんの。親鳥がいるはずだから元に戻してこい」「よくみたけどいない」「自分で面倒も見られないやつは絶対に拾うな、ってあれほどいったのに何で拾ってくるんだ、悪魔!」と大騒ぎ。しかし拾われたスズメを見るとヒナではなく成鳥だ。しかも片目が無く陥没しているし全然鳴かない。スズメは警戒心が強いのにさわっても全然逃げない。これはかなり弱っている。とりあえず仕方なくちゅんこの病院行き用カゴをとり出し、熱湯を入れたペットボトル二つをタオルでくるみ置くと、その上でジッとしたまま…。なんとか砂糖水と子供用リポビタンを薄めたものを飲んでくれたのだが…。これから全員授賞式出席で会社を空にしなきゃいけないんだけど、目が放せない状態だ。しかも肝心の幸作が「今日の夜は用事があるから」と早くも責任放棄の最低最悪状態。ホトホト困っていたら、たまたま来社していた光栄印刷営業の宮ちゃんが「じゃ、私が会社終ったら7時ごろ一度様子を見に来ますから」といってくれたので、すがるような思いで会社の鍵を渡し、会場へと向かったのだった。そして二次会終了後、ホントだったら朝まで飲みたいところだったけど、私と高市、それに荷物を会社に戻すお水と三人で11時過ぎに会社に戻り、瀕死のスズメの様子を窺う。すこし餌は食べたもののまだグッタリとした状態…。どーすりゃいいんだろうか、このスズメ。ちゅんこがいるので二羽は無理だけど今は目が離せない。日本一の無責任男のせいで、この大問題に深い溜め息の連発、の一夜でもあった。けど、ホントにどーするんだ青林工藝舎…。(手塚)
※写真がたくさんあるので、のちほどまたお祝いに駆けつけてくださった方々の写真を別枠で紹介しますのでお楽しみに。
●授賞式動画 http://www.asahi.com/video/hivision/
TKY200806120275.html
●授賞式の記事 http://www.asahi.com/culture/
news_culture/TKY200806140089.html
●エモーショナルピクチャーズ井上さんのファンサイト
http://www.geocities.co.jp/MusicHall/5471/
の「24jazzjapan」をクリックすると動画配信中だそうです。
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